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女性にとって結婚は体に悪い?

石蔵文信・大阪大学招へい教授

 前々回に医師の離婚の話をしたところ、アクセスがかなり多かったらしい。他人の不幸は蜜の味というわけではないが、健康より夫婦問題を気にしている人が多いのだろうか?

離婚は心臓に悪影響?

 米国Duke大学のDupre先生が女性の健康問題(心筋梗塞=こうそく=のリスク)と離婚歴に関して調査を行った(Circ cardiovasc Qual Outcomes 05.4.14 Online)。45〜80歳の結婚歴がある男性7264人、女性8563人を対象に約20年間追跡調査をしたという。調査を始めた時点で離婚歴のない男性は59%、女性は54%と、すでに約半数が離婚を経験しているのが米国らしい。離婚後、再婚していない男性は14%、女性は19%、再婚していた男性は26%、女性は20%と懲りていない人もたくさんいるのも米国らしい。

 さて、女性の心筋梗塞のリスクは離婚歴のない人に比べて離婚歴1回の女性で24%増加、離婚歴2回の女性ではなんと77%も増加している。離婚が心臓に与える悪影響はかなり強烈なようだ。しかし、離婚後再婚しない女性でも36%の増加、再婚した女性でも35%の増加とあまり変わりはないので2回以上の離婚後は再婚しようがしまいが、心臓に与える影響は変わりないようだ。一方男性では2回以上の離婚歴が心筋梗塞のリスクを…

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大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。