人類史からひもとく糖質制限食

玄米魚菜食と断食の効果

江部康二・高雄病院理事長
  • 文字
  • 印刷

 私が食生活に本格的に興味を持つきっかけになった、ハンガーストライキの京大生を診た経験について、前回から話は続きます。

 N君というその京大生は、京都の四条河原町の高島屋の前にテントを張って泊まり込んでいました。私は毎日、血圧、脈拍、尿などの情報をもらい、時々往診していたのですが、ハンスト22日目に、いよいよ体力の限界ということで、ドクターストップをかけました。N君は22日間のハンストを終えて、1984年6月3日、高雄病院に担架で運ばれて入院して来たのです。

 さすがに体重が15kgも減り、169cm、48kgと痩せさらばえてはいました。しかし目には力があり、自力歩行も可能で、私の心配などは杞憂(きゆう)に終わりました。N君は、筆舌に尽くしがたいほど美味といわれる最初のおもゆを味わって以後、翌日には自力でゆっくりと歩き、順調に回復していきました。N君いわく「何を食べてもかつて味わったことがないほどおいしい。体の壮快さも抜群です」

この記事は有料記事です。

残り1903文字(全文2321文字)

江部康二

高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。