MMJ編集長のニュースな医学

疼痛緩和は「正義」だ

高野聡・毎日新聞 医療福祉部編集委員
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 人生で2度目のぎっくり腰を経験した。突然襲った激痛が消えるまで数日間、床に伏せながらつくづく思った。「痛いのは嫌だ」

 痛みは実は人の体にとって重要な感覚だ。糖尿病患者が病気に気付いたときは既に進行していたというケースは、神経障害の痛みなど初期の自覚症状が乏しいために起きる。一方、がんのような深刻な病気では痛みがなくなるだけで、患者の生活はずっと改善されるだろう。

 日本では、がん患者の疼痛(とうつう)(痛み)緩和が遅れている。世界保健機関(WHO)はモルヒネなどの医療用麻薬の使用を推奨するが、日本の消費量は米国の水準の20分の1と低い。医師、患者双方に「中毒を起こす」「次第に効きめがなくなる」という誤解が根強いためだ。青森県立中央病院の的場元弘・緩和医療科部長は「医療用麻薬で中毒は起きない。主な副作用は吐き気や便秘。併用する薬によっては酒酔いに似たせん妄も…

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高野聡

毎日新聞 医療福祉部編集委員

たかの・さとし 1989年毎日新聞社入社、地方支局勤務などを経て96年、東京本社科学環境部。医療・医学担当として病原性大腸菌O-157の集団感染、臓器移植法案および法成立後の1例目脳死移植などを取材。2009年新型インフルエンザを大阪本社科学環境部で取材。10年10月よりMMJ編集長、16年4月より医療福祉部編集委員。