若い人から高齢者まで、肩こりに悩んでいる人は多いでしょう。しかし、「肩こり」といっている部位は、実は解剖学的には首の一部。さらにその引き金は、多くが首の骨(頸椎=けいつい)の不具合から来ています。効果的な肩こりの解消法は、筋肉のマッサージよりもまずは頸椎を改善させることです。

ほとんどの肩こりは首から

 肩こりの多くは首の骨の不具合から来ている、というと驚く方も多いでしょう。しかし、実際に私のクリニックに肩こりを訴えてやってくる患者さんを診察しますと、そのほとんどが頸椎症や頸椎椎間板症といった首の問題からきています。それぞれの病気についてはのちほど詳しく解説しますが、首の問題の引き金となるものの代表がパソコン作業です。

 頸椎は脊椎(せきつい=背骨)の一部で、腰の骨と同じように個々の骨(椎骨)が七つ連結し、ゆるいカーブを描いて並んでいます。ところがパソコンの画面を見ているうちに、私たちは知らず知らずのうちに前かがみになり、あごを前に突き出す格好になります。自分では気づきにくいのですが、他の人の首の姿勢を横から見ると分かると思います。こうした姿勢は、長時間続けていると頸椎や周囲の組織に強い負担をかけることになります…

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お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長

どうや・ひでお 1994年日本医科大学卒業後、千葉大学付属病院、成田赤十字病院、国立がんセンター中央病院、千葉県立こども病院、千葉リハビリテーションセンターなどで勤務。豪州ベッドブルック脊椎ユニット留学などを経て、2010年、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック(東京都)を開院。その間、04年には国際腰椎学会日本支部賞、05年には国際腰椎学会・学会賞を受賞した。20歳の頃からぎっくり腰を繰り返し、腰痛がくせになっていた体験を生かし、運動療法、靴、栄養療法を組み合わせて体の痛みを根本的に取る治療法を考案してきた。医学博士、米国公認足装具士。著書に「腰の脊柱管狭窄症が革新的自力療法痛みナビ体操で治った!」(わかさ出版)、「頸椎症を自分で治す!」(主婦の友社)、「腰・首・肩の激痛がみるみる消える!奇跡の自力療法『背中ほぐし体操』」(宝島社)など多数。