医療プレミア特集

脱水時に水を飲んだら逆効果? 今から学んで来年まで使える熱中症対策

西田佐保子・毎日新聞 デジタルメディア局
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 熱暑が続く日本。総務省消防庁によると、熱中症による救急搬送数は、5月19日~8月9日の間で昨年が3万1181人だったのに対し、今年は4万5793人(暫定値)と、1万人以上増加しています。加えて、気象庁は8月15日~9月14日の期間の前半は、北・東・西日本で気温がかなり高くなるところがあるとの見通しを発表しており、お盆を過ぎても依然、熱中症への注意は必要と言えそうです。そこで、「筋肉の少ない高齢者は熱中症になりやすい?」など、意外に知られていない熱中症の基礎知識から、今から学んで来夏も実践できる予防対策まで紹介します。

 熱中症は、高温多湿で暑い時期、体温調整がうまく機能せず、熱が体内にたまることにより起こる状態の総称です。夏の暑さの中、体温は上がります。体は体温を下げる働きのある汗を大量に出し、体液は失われます。これが「脱水」状態です。さらに発汗が続くと、これ以上体液を喪失しないよう、体が発汗にストップをかけます。発汗による体温調節ができず、体内の熱を放散できなくなることで、さまざまな臓器がダメージを受けるのです。

 熱中症の発症には、気温、湿度、風速、日射などの環境条件と個人の体調が関係しています。日本救急医学会熱中症委員会の調査報告によると、熱中症の発症時期は7月中旬~8月上旬、発症時間は正午~午後3時がピークで、女性よりも男性に多く、労働中、スポーツ中に発症する割合が高くなっています。特に発症率が高いのが、梅雨の谷間の急に暑くなった日や梅雨明け後の蒸し暑い日など、体が暑さに慣れていない時期。また、高齢者は屋内で発症することも多いうえ、症状が徐々に進行して本人も周囲の人も気付きにくいため、対応が遅れがちで重症化する例が多くみられます。

 消防庁によると、昨年6~9月に搬送された人の年齢は、65歳以上の高齢者が46.1%と最も多く、18歳以上65歳未満は38.9%、7歳以上18歳未満は14.0%、生後28日以上7歳未満は 0.9%。子どもは、体重が少なく体内の体液量も少ないため、熱の影響を受けて体温が上昇しやすく、発汗機能や体温調節機能が未発達で熱中症になりやすいのです。

 高齢者は、体内で最も体液を蓄えている筋肉の量が減少しているため体内の体液量が少なくなっています。また発汗機能や体温調節機能の低下により、のどの渇きや気温の高さを感知しにくいというリスクもあります。エアコンを使いたがらない、夜間トイレに行くことを避けるために水分摂取を控えるなどの習慣も、熱中症を引き起こす可能性を高めます。高齢者に多い高血圧、糖尿病、認知症などの基礎疾患があると発症リスクはさらに高…

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西田佐保子

毎日新聞 デジタルメディア局

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。 興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。