実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

誤解だらけのB型肝炎ウイルス(4)

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
  • 文字
  • 印刷

 前回は実際に太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)で診察したB型肝炎の二つの症例を紹介し、感染症は「単に医学のみならず社会の課題である」と述べました。具体的に説明していきます。

献血に行ったのが数日早かったら……

 症例1では献血でB型肝炎ウイルス(以下HBV)が発見されました。献血の際は感染症に罹患(りかん)していないかいくつもの方法で検査をします。この症例では、「HBs抗原」という感染してしばらくの期間がたってから上昇する項目は陰性でしたが、「HBV-DNA」が陽性でした。これは感染して間もない時期に検査をしたことを示しています。しかしHBV-DNAが陽性になるのにも感染してからある程度日数が必要です。

 ということは、もしもこの男性が献血をおこなうのが数日間早かったならば、検査で感染を見つけられなかっ…

この記事は有料記事です。

残り1469文字(全文1824文字)

   

ご登録日から1カ月間は100円

いますぐ登録して続きを読む

または

登録済みの方はこちら

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト