
前回紹介した、高雄病院で取り入れている糖質制限食の三つのパターン「スーパー糖質制限食」「スタンダード糖質制限食」「プチ糖質制限食」について、今回はもう少し詳しく解説します。また、重要な糖質制限食の注意点についても伝えたいと思います。
糖質制限食の3パターン
まず、スーパー糖質制限食では朝昼晩、すべての食事について、米、パンや麺類などの麦製品、芋類など糖質の多い食品を避けます。血糖値は糖質を取らなければ上昇しませんから、スーパー糖質制限食ならば、1日を通して一度も食後高血糖が生じません。糖尿病患者や、血糖値が気になる人には最適です。前回、血糖値を下げる唯一のホルモン、インスリンが、別名「肥満ホルモン」と呼ばれる仕組みを解説しました。このインスリンが少量しか出ませんから、ダイエット効果も一番高くなります。
次にスタンダード糖質制限食は、1日3食のうち朝食、または昼食のどちらか1度の食事のみ主食などの糖質をとり、残りの2回の食事については糖質の多い食品を避けます。糖質を取るのは朝食でも昼食でも構いませんが、夜は避けます。なぜでしょう。夕食後は、基本的に運動をしないで寝る人が多いと思いますし、ブドウ糖を多く消費する脳の活動も減少します。従って、血糖が利用されにくくなり、残った血糖がインスリンによって中…
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高雄病院理事長
えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。