医療プレミア特集

甘く見てはいけない男性の更年期障害

中村好見・毎日新聞 医療プレミア編集部
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 体の中にわずかな量しかないにもかかわらず、一生にわたって私たちの体に大きな影響を与え続けるホルモン。体の状態を健康に保ち、また必要な成長や生殖機能を担う、重要な情報伝達物質です。現在、人間には100種類以上のホルモンが見つかっています。最近の研究で、ホルモンはこれまで考えられてきた以上に、さまざまな影響を心身に与えていることが分かってきました。その一つの例が男性の性ホルモンである「テストステロン」です。研究の第一人者で、このサイトでも連載を開始した順天堂大学大学院の堀江重郎教授に聞きました。連続3回でお伝えします。

 「最近なんだかやる気がしない」「疲れやすい」「気分が沈みがち」--40代以降の男性に見られるこんな症状の原因として、「男性更年期障害」の可能性があることを知っていますか。閉経による女性の更年期障害が広く認知されているのに対して、まだあまり知られていないのが実情ですが、男性更年期障害は、男性ホルモン・テストステロンの減少が原因です。男性のテストステロンの分泌は、10代後半~30代をピークに低下する傾向がありますが、加齢だけが減少の原因ではありません。ストレスや睡眠不足などの影響を大きく受け、個人差も大きいのです。

 今、医療現場では、テストステロンの低下を「男性性腺機能低下(Late Onset Hypogonadism)症候群」、英語の頭文字を取ってLOH症候群と呼び、積極的な治療を啓発するようになりました。米国で行われた大規模調査の結果、60代の2割、70代の3割、80歳以上の約半分と、かなり多くの男性がLOH症候群に該当すると推測されています。治療にはまず、生活習慣の改善を指導し、それでもテストステロ…

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中村好見

毎日新聞 医療プレミア編集部

なかむら・よしみ 1984年生まれ。2008年に毎日新聞社へ入社、高松支局、和歌山支局を経て15年から医療プレミア編集部。幼少時に家族がくも膜下出血で倒れた経験から、医療とそれを取り巻く社会問題に興味を持つ。関心のあるテーマは公衆衛生、根拠と語りに基づく医療など。twitter:@yoshimi_nakamu