実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

蚊がもたらした八重山諸島の悲劇

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
  • 文字
  • 印刷

 今年(2015年)は戦後70年ということもあり、マスコミでは戦争の特集が数多く組まれました。4月には、天皇、皇后両陛下が太平洋戦争の戦没者の慰霊などのためパラオを訪問されたことが大きく報道されました。8月に公開された半藤一利氏原作の「日本のいちばん長い日 運命の八月十五日」は随分話題になりました。

 また、8月14日には安倍晋三首相が内閣総理大臣談話を発表し、そのなかで太平洋戦争の被害者に対する言葉が述べられています。国外の犠牲者に対しては「中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜(むこ)の民が苦しみ、犠牲となりました」というコメントがあり、国内の被災者に対しては「広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました」とあります。

 沖縄については「沖縄における地上戦」という言葉があります。米軍は1945年3月に慶良間諸島から沖縄本島に上陸し、一般市民を含む大勢の日本人が犠牲になりました。しかし、本島よりも南方に位置した八重山諸島には米軍は上陸していません。

この記事は有料記事です。

残り2134文字(全文2639文字)

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト