人類史からひもとく糖質制限食 フォロー

人類が日常的に糖質を食べ始めて酷使するようになったもの

江部康二・高雄病院理事長

人類の食生活3段階と血糖値【2】

 これまでの定説では、約1万年前ごろ、中東で麦を栽培する原初の農耕が始まったとされてきました。しかし現在では、世界のいくつかの地域に農耕の発祥地を想定するのが一般的になってきています。例えば、穀物は麦だけではありません。中国・長江中流域では近年、約1万年以上前に稲が栽培されていた可能性が高いことを示す証拠が相次いで発見されています。また、茎や根から増やす根栽農耕は、1万年以上前には東南アジアで始まっていたとする説もあります。考古学の発展や遺伝子解析によって、新たな研究成果が発表され続けています。

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高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。