
人類の食生活3段階と血糖値【3】
今回は、人類の食生活3段階と血糖値シリーズの最終回です。
精製炭水化物の登場で起きた大変化
前回、原初の組織的農耕が始まったのは約1万年前とお伝えしました。それは人類の食生活において大きな変化だったわけですが、その後、もう一度大変化が起こります。18世紀にイギリスで産業革命が起こり、蒸気機関が発明されると、大規模な製粉工場が登場しました。19世紀には、現在使われているロール製粉機も生まれ、ますます穀物の精製技術は進化しました。日本の場合はというと、江戸時代中期ごろから、庶民にも白米の習慣が定着していきました。
すなわち、世界で精製された炭水化物が取られるようになったのは、ここ200〜300年のことです。現代では、世界中の多くの国で、主食は白いパンか白米などの精製された穀物です。精製された炭水化物は、未精製のものに比べて、さらに急激に血糖値を上昇させます。精製された炭水化物を食べると、空腹時血糖値が100mg/dLとして、食後血糖値は160〜170mg/dLまで上昇します。血糖値上昇の幅は60〜70mg…
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高雄病院理事長
えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。