医療プレミア特集

西洋と東洋−−世界観の差は、命と病の認識の違いから

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米田堅持撮影
米田堅持撮影

 本屋大賞、日本医療小説大賞受賞の小説「鹿の王」が、ベスト&ロングセラーとなっている作家、上橋菜穂子さんへのインタビュー第3回は、作中で描かれている医療、医学の二つの“流派”の背景を解説してもらった。そこには人々の生命観を土台にする「医」への視点が、その人たちの世界観と密接に関わっているという、文化人類学者らしい視点が盛り込まれていた。【聞き手=奥野敦史・医療プレミア編集長】

 −−「鹿の王」の主人公の一人、医術師のホッサルはいわゆる西洋医学的な医術を駆使します。ウイルスの存在も把握していて、現実世界に当てはめれば20世紀前半、DNAが発見される前くらいの医学知識という印象がしました。

 歴史上初めて発見されたウイルスはタバコモザイクウイルスだったと思いますが、その存在の可能性は1883年ごろには、すでに記載されていたようですね。ウイルスは光学顕微鏡では見えませんが、顕微鏡の発明によって、裸眼では見ることができないものがこの世には存在するのだ、という認識が生じていたわけですから、目で見て確認することはできなくても、可能性は考えられていたのですね。

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