ひたむきに生きて

徹底的な準備と平静心

天野篤・順天堂医院院長/順天堂大学教授
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心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影
心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影

 外科医が手術の手技を学んでいく時、完成度がどのように高められるかは医師ごとに差があり、さらに1人の医師の中でも技術を習得していく過程は一様ではありません。経験を積むたびに出来栄えが良く、素早い手術になっていく場合があるかと思えば、いつもの倍も時間がかかってようやく手術を終えることができた、という場合もあります。

 このように、多少なりとも凸凹を経て成長していく状況を示す習熟曲線は「ラーニングカーブ」と称されます。当然、このカーブを形成する過程であっても、患者に提供する治療結果は熟練の医師が実施する場合と同じ質が保証されなければなりません。術後に過度な負担が加わるような治療も厳禁です。しかし「後進の教育」「治療の普及」といった医療の宿命から、患者の中には経験値の低いラーニングカーブの段階の医師に手術を委ねる…

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天野篤

順天堂医院院長/順天堂大学教授

あまの・あつし 1955年生まれ。埼玉県出身。83年日本大医学部卒。亀田総合病院、新東京病院などを経て、2002年7月から順天堂大学教授、16年4月から順天堂大学医学部付属順天堂医院院長。12年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀したことで知られる。