無難に生きる方法論

「スーパーノーマル」を疑え

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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 日本人間ドック学会が8月、2014年の統計調査報告を公式サイトで発表した。その結果、基本検査の全項目で異常のない受診者は男性で5.5%、女性で8.3%しかいなかったという(全体で6.6%)。基本検査の全項目で異常のない受診者のことを“スーパーノーマル”と呼ぶらしい。糖尿病予備軍である「耐糖能異常」や「高中性脂肪」が九州・沖縄と東北地方で多いといった地域特性は、年々小さくなってきているようだ。

 人間ドックの受診者は313万人余りで毎年増えている一方で、スーパーノーマルの比率は下がり続けている。1984年には29.8%であったのが、今や6.6%である。下がり続けている原因として、受診者の高齢化や生活習慣病関係の判定基準の厳格化、食習慣の欧米化、身体活動の低下が挙げられている。

 しかし、男性では肥満、高コレステロール、肝機能異常などが、50歳代をピークに減少傾向にある。単に受診者の高齢化というよりは、年々厳しくなる診断基準が問題かもしれない。普通に仕事や生活をしている人のほとんどが正常でないとされる診断基準は果たして正しいのであろうか? 確かに多くの研究の結果から導き出された値ではあるが、少し見直すことも考えた方がよさそうである。

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。