孤島の小さな診療所から

カルテが空欄の患者さんから学んだこと

太田龍一・沖縄県立南部医療センター付属南大東診療所長
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往診を終え、患者さんのお宅を後にする筆者。11月半ばの南大東島はまだ最高気温が27度ほどもあります。道ばたにはキク科の小さな黄色い花が咲き乱れていました=筆者提供
往診を終え、患者さんのお宅を後にする筆者。11月半ばの南大東島はまだ最高気温が27度ほどもあります。道ばたにはキク科の小さな黄色い花が咲き乱れていました=筆者提供

 診療所にはさまざまな患者さんが来られます。今回は私がいろいろな意味で勉強させていただいた患者さんのエピソードを紹介します。

引き継いだカルテにほとんど何も書かれていない……

 南大東島に赴任し1カ月がたとうとしていたころ、1人の大柄の男性が診療所に来られました。前任の診療所医師から引き継いだその方のカルテには、なぜか毎回の受診日と「元気」という一言、そして薬の処方内容しか書かれていませんでした。不思議に思っていましたが、診察を開始し、すぐにその意味がわかりました。

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太田龍一

沖縄県立南部医療センター付属南大東診療所長

おおた・りゅういち 大阪府出身。2004年大阪市立大学医学部入学。同大学卒業後、10年から沖縄県立中部病院プライマリケアコースで研修。13年から現職。人口約1400人の南大東島で唯一の医師として、島民の日常的な健康管理から救急医療までを一手に担う。趣味は読書とランニング。毎年秋に開かれる島の運動会、駅伝大会への参加を目指し、鋭意トレーニング中。