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目?鼻?歯? その痛み、顔面神経痛ではありませんか

工藤千秋・くどうちあき脳神経外科クリニック院長

 前回、顔の一部がピクピク動く「顔面痙攣(けいれん)」をご紹介しました。これによく似た病気に「顔面神経痛」があります。似てはいますが、症状、問題を起こしている神経、原因などは異なります。

顔面神経痛の代表格「三叉神経痛」

 顔面神経痛の代表格といえるのが「三叉(さんさ)神経痛」です。症状は文字通り痛み、それも“刺されるような”と形容される激痛で、日常生活に大きな支障を来します。症状は何らかのきっかけで表れることが多いようです。例えば、歯ブラシで歯を磨き始めたとき、みそ汁を飲もうとしたとき、声を出したとき、冷たい風に当たったときなど、日常のありふれた行動を引き金に激しい痛みに襲われます。痛みの持続時間は比較的短い場合が多いのですが、1日に何度も、顔の片側に起こります。

 三叉神経は痛みなどの感覚を伝える知覚神経で、こめかみの奥の深いところにある三叉神経節から3本に分かれるのでこの名前があります。第1枝は眼神経、第2枝は上顎(じょうがく)神経、第3枝は下顎(かがく)神経といい、それぞれ顔の上部、中部、下部にのび、その領域を支配しています(図参照)。

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くどうちあき脳神経外科クリニック院長

くどう・ちあき 1958年長野県下諏訪町生まれ。英国バーミンガム大学、労働福祉事業団東京労災病院脳神経外科、鹿児島市立病院脳疾患救命救急センターなどで脳神経外科を学ぶ。89年、東京労災病院脳神経外科に勤務。同科副部長を務める。01年、東京都大田区に「くどうちあき脳神経外科クリニック」を開院。脳神経外科専門医であるとともに、認知症、高次脳機能障害、パーキンソン病、痛みの治療に情熱を傾け、心に迫る医療を施すことを信条とする。 漢方薬処方にも精通し、日本アロマセラピー学会認定医でもある。著書に「エビデンスに基づく認知症 補完療法へのアプローチ」(ぱーそん書房)、「サプリが命を躍動させるとき あきらめない!その頭痛とかくれ貧血」(文芸社)、「脳神経外科医が教える病気にならない神経クリーニング」(サンマーク出版)など。