伝統衣装を着たカロ族の女性。お祝いのときにかぶる帽子は、重さ6kgもある
伝統衣装を着たカロ族の女性。お祝いのときにかぶる帽子は、重さ6kgもある

インドネシア・スマトラ島北部:カロ族の村

 スマトラ島北部、カロ族の村を再訪した。連載第7回で目薬になる薬草を紹介してくれたバンチムリ・ブルー・サンビリンさんは、カロ族伝統医療の医師だ。彼女の自宅は治療院を兼ねている。今回は目薬以外の日常的な伝統治療について、教えを請うた。

 その日は快晴。洗濯日和と言っていいほど、空はきれいに晴れ渡っていた。治療院の庭の奥でも、洗濯物が風になびいているのが見えた。その手前の地面に敷かれた大きな布の上には、細かく砕いたたくさんの薬草が天日干しされていた。「これは何の薬ですか?」とバンチムリさんに聞いてみた。彼女は「有名な薬だよ。私が作るスンブールといって、何にでも効く薬なんだ」とちょっと自慢げに説明してくれた。

この記事は有料記事です。

残り2212文字(全文2536文字)

鷺森ゆう子

エスノ・メディカル・ハーバリスト(民族薬用植物研究家)

さぎもり・ゆうこ 神奈川県生まれ。動物専門学校看護科卒。日本大学英文学科卒。1994年より動物病院で獣医助手として勤務する。同時に海や川の環境保全を行う環境NGOに携わり、海洋環境保全に関するイベントの運営などを行う。また中米のベリーズを訪れ、古代マヤ人の知恵を生かしたナチュラルメディスンに触れ、自然の薬に、より関心を持つようになる。このような体験を会報誌へ執筆する。95年から1年間、東アフリカのケニアにて動物孤児院や、マサイ族の村でツェツェフライコントロールプロジェクトのボランティアに参加する。このときサバンナでは、マサイ族直伝のハーブティーなどを体験する。帰国後は再び環境NGOなどに関わりながら、国内での環境教育レクチャーや、中米グァテマラの動物孤児院にてボランティア活動を行うなど、野生生物と人との共生について探求する。2006年から野生生物の生きる環境や、世界の自然医療の現場を巡る。

藤原幸一

生物ジャーナリスト/NATURE's PLANET代表

ふじわら・こういち 秋田県生まれ。日本とオーストラリアの大学・大学院で生物学を学ぶ。現在は、世界中の野生生物の生態や環境問題、さらに各地域の伝統医学に視点をおいて取材を続けている。ガラパゴス自然保護基金(GCFJ)代表。学習院女子大学・特別総合科目「環境問題」講師。日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」監修や「動物惑星」ナビゲーター、「世界一受けたい授業」生物先生。NHK「視点論点」「アーカイブス」、TBS「情熱大陸」、テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」などに出演。著書は「きせきのお花畑」(アリス館)、「森の声がきこえますか」(PHP研究所)、「マダガスカルがこわれる」(第29回厚生労働省児童福祉文化財、ポプラ社)、「ヒートアイランドの虫たち」(第47回夏休みの本、あかね書房)、「ちいさな鳥の地球たび」(第45回夏休みの本)、「ガラパゴスに木を植える」(第26回読書感想画中央コンクール指定図書、岩崎書店)、「オーストラリアの花100」(共著、CCCメディアハウス)、「環境破壊図鑑」(ポプラ社)など多数。