
日本の冬山はパウダースキー天国
ここ数年、スキー場のゲレンデの外で、スキーやスノーボードの事故が相次いでいます。この冬は異常とも言える暖冬で、スキー場が雪不足で困っている、というニュースが繰り返し聞かれますが、本来の日本の冬は、本当に世界有数のパウダー天国なのです。この自然の恵みを求めて、海外からのスキーヤー、スノーボーダーが増え、日本の中で、一気にバックカントリーブームが広まりました。
ここで言葉を整理しましょう。バックカントリーとは、スキー場のように整備された区域以外のエリアを指しています。つまり手付かずの自然、まだ誰も踏み入れていないパウダースノーが広がっている環境なのです。そこで行うスキーがバックカントリースキー。そんなところに簡単に入れるのか、というと、そうなんです、簡単に入れるんです。
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北海道大野記念病院医師/国際山岳医
おおしろ・かずえ 1967年長野県生まれ。医学博士、山岳医療修士。日本大学医学部卒業後、循環器内科医として約10年間の付属病院勤務を経て、「山での遭難者を助けたい」という思いを募らせて本格的に山岳医療の勉強を始める。98年、アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5895m)に登頂。心臓血管センター大野病院(現・北海道大野記念病院)を拠点に診療を続けるが、09年に退職し渡英。1年をかけて日本人として初めて「UIAA(国際山岳連盟)/ICAR(国際山岳救助協議会)/ISMM(国際登山医学会)認定国際山岳医」の資格を取得した。現在は同病院の循環器内科・内科および登山外来で勤務するかたわら、北海道警察山岳遭難救助隊のアドバイザーも務める。遭難実態を知り、現在遭難しないための医療情報、心臓死の予防、高所登山のアドバイス、ファーストエイド技術の講習会主宰など、山と登山に関する多方面で活躍する。13年には三浦雄一郎さんのエベレスト遠征隊にチームドクターとして参加した。自身もマッキンリー、マッターホルン、マナスル(世界第8位)登頂など海外を含む豊富な登山歴を持つ。