実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

解熱鎮痛剤 安易に使うべからず

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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知っているようで、ほとんど知らない風邪の秘密【8】

 今回は「風邪」をひいたときの解熱鎮痛剤の使い方と危険性についてお話ししたいと思います。

風邪を致命的に悪化させることがある解熱鎮痛剤

 まず基本的な言葉を押さえておきましょう。風邪で用いる解熱鎮痛剤というのは「熱を下げたいとき」または「痛み(それは咽頭〈いんとう〉痛でも頭痛でも生理痛でも関節痛でも)を和らげたいとき」に用います。そのため解熱鎮痛剤はときには「熱冷まし」と呼ばれ、ときには「痛み止め」と呼ばれます。このうち一方だけに作用させることはできず、「熱冷まし」として飲んでも痛みは和らぎますし、逆に「痛み止め」として用いても熱が下がります。たとえば、虫歯の治療で「痛み止め」を飲んでいると、風邪をひいても熱が上がりにくくなります。

 今回はここで結論を述べたいと思います。それは「風邪の病原体によっては解熱鎮痛剤が症状を悪化させるこ…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト