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糖尿病発症にもつながる? 実は怖い筋肉の老化

萩野浩・鳥取大学教授

筋肉量の低下を抑えるには運動しかない

 「最近転びやすくなった」という方、もしかすると筋肉の老化が原因かもしれません。骨や関節と同様、筋肉も老化します。ただし、骨と関節とは違い、筋肉は鍛えればその効果が実感でき、老化の速度を抑えることが可能です。

太ももと背中の筋肉が減っていく

 私たちの体は、さまざまな筋肉に覆われています。加齢により、筋肉を構成する線維状の細胞「筋線維」は減少・萎縮し、筋力が低下していきます。これが筋肉の老化です。筋肉は30代から徐々に減り始め、50代で急速に減少。骨や関節と同じく、女性は男性よりも早く減り、老化が進みます。筋肉の減少に伴う筋力低下は部位により差があり、男女に共通して低下が著しいのは、脚、なかでも膝を伸ばす力(膝伸展筋力)です。加えて女性の場合、背筋の減少が大きく、筋力は20代に比べ、40代で3割減、50代では半減してしまいます。また、加齢による筋肉減少、筋力低下とは別に、体を動かさない「不動」状態は、より急速に状態を悪くさせます。入院などにより寝たきり状態になった場合、14日間で約15%、20~30日間で20%、42日間で29%も膝伸展筋力が低下するとの報告もあります。

 筋線維の種類によっても老化の速度は異なります。筋肉は速筋線維と遅筋線維という2種類の筋線維によって構成されていますが、持久力に優れた「遅筋」の低下は緩やかに進み、瞬発力やパワーに富む 「速筋」の低下は急速に、また早い段階で進行します。

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鳥取大学教授

はぎの・ひろし 1982年鳥取大学医学部卒業。同学部整形外科助手、講師、付属病院リハビリテーション部長などを経て現在、医学部保健学科教授(付属病院リハビリテーション部長兼務)。専門は骨粗しょう症、関節リウマチ、運動器リハビリテーション。特に骨粗しょう症治療の経験が深く、国際骨粗鬆(しょう)症財団(IOF)アジア太平洋地域代表、日本骨粗鬆症学会理事など要職を務める。保健師、看護師、臨床検査技師などを対象に骨粗しょう症診療のコーディネイター役「骨粗鬆症マネージャー」を養成する日本骨粗鬆症学会のレクチャーコースでは講師役も務める。著書に「骨粗鬆症治療薬の選択と使用法―骨折の連鎖を防ぐために」(南江堂)など。