実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

抗菌薬が引き起こす危険な副作用と、「キス病」

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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 このコラムの第20回で風邪への抗菌薬使用の注意点を述べました。「抗菌薬は自分の判断で飲んではいけない」「抗菌薬は自己判断で中止すると耐性菌を生み出す可能性がある」「医師も抗菌薬の処方には慎重を期している」ということなどを解説しました。

 今回はその続編です。抗菌薬がなぜ危険か、ということについて副作用を中心に説明し、さらに抗菌薬が病状を悪化させる風邪を紹介します。「どうして抗菌薬ばかり……」と感じる方がいるかもしれませんが、抗菌薬を気軽に考えすぎている人があまりに多い……と日々、臨床を通して私自身が感じているからです。だからしつこいくらいにそのリスクを訴えたいという気持ちがあるのです。

 まず、繰り返しになりますが、処方された抗菌薬は大きな副作用が出ない限りは最後まで飲みきることが重要です。では「小さな副作用」なら我慢しなければならないのでしょうか? 答えは「イエス」です。ただし、どこからどこまでを「小さな副作用」と呼べるかは判断が難しい面もありますから、無理をしすぎないようにすべきですが。

 つまり、抗菌薬とは「少々の副作用も我慢しなければならないかもしれない大切な薬」なのです。そして「そんな大切な薬を飲むのだから、薬が必要な理由を患者さん自身が事前にしっかり理解すべきだ」ということを、私は最も言いたいのです。我々医師が抗菌薬を処方するときは、大切な患者さんに副作用が起こるリスクを負っています。患者さんの側としても「副作用が起こるかもしれないけれど大切な薬なんだ。飲み忘れてもいけない…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト