ひたむきに生きて

「念のために手術」は的外れ

天野篤・順天堂医院院長/順天堂大学教授
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心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影
心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影

 俳優の阿藤快さんが大動脈瘤破裂で突然死されました。健康番組でご一緒したこともあったのでとても驚いています。病気の存在を指摘されていたとの報道もあり、治療を先延ばしして間に合わなかったのではと思われ、残念でなりません。今回は心臓病の診断と手術、治療のタイミングについて書きたいと思います。

 私は成人の心臓病を担当しており、手術は主に三つの分野があります。具体的には、▽心臓に栄養を送る冠動脈の硬化が進み、血液が通りにくくなった心臓へのバイパスを作る冠動脈バイパス術▽心臓内の弁に異常が生じて人工弁への交換などをする弁膜症手術▽こぶや亀裂が裂ける(解離)状態になったため大動脈を人工血管に交換する大動脈手術−−です。これらを組み合わせた手術も多く、手術の場所が多いと心臓を止める時間が長くなり、回復にも影響します。しかし、難しい手術でも完成度が高ければ、術後に患者の皆さんの健康レベルも高まり、一定の管理の下で運動も自由に謳歌(おうか)できます。

 手術が必要になるまで心臓を悪化させた原因で多いのは、高血圧と糖尿病です。悪玉コレステロールが多い人も若い時期に発症しやすいのですが、薬の普及で管理できるようになりました。また、最近は生まれつき大動脈弁が正常より1枚少なく、後に弁膜症を引き起こすケースが多いことも分かってきており、日本人の約80人に1人とも言われます。

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天野篤

順天堂医院院長/順天堂大学教授

あまの・あつし 1955年生まれ。埼玉県出身。83年日本大医学部卒。亀田総合病院、新東京病院などを経て、2002年7月から順天堂大学教授、16年4月から順天堂大学医学部付属順天堂医院院長。12年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀したことで知られる。