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効果不明な従来方法と一線を画す「免疫チェックポイント阻害療法」

竹本和代・医療ライター三嶋秀行・愛知医科大学教授

最近、今までとはまったく違う新しい「免疫療法」が登場したそうですが。

 がんの免疫療法は健康保険も利かないし、民間療法のようなものだとずっと思っていました。ところが、最近、急に進歩していると聞き、気になり始めました。現在の免疫療法について教えてください。(70歳、男性)

長年「期待の次世代治療法」だったが……

 がん治療のなかで免疫療法は、手術、抗がん剤、放射線の3大療法に続く「第四の治療法」と言われています。免疫療法は、免疫の働きを利用してがんをやっつけようという治療法の総称で、何十年も前から具体的な方法がたくさん開発され、試験も行われてきました。しかし、なかなか十分な成果をあげることができず、ずっと“期待される次世代の治療法”のままでした。

 それが、この数年で急激に変わりました。明らかな治療効果が示されたデータが相次いで発表されたり、従来のメカニズムとは異なる薬が登場したりして、いままさに「第四の治療法」の地位を獲得しつつあります。

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医療ライター

たけもと・かずよ 共立女子大学文芸学部卒。PR会社勤務を経て1990年フリーランスライターに。医療・ヘルスケア領域の話題を中心に、主に雑誌、医療系ムックで取材・執筆活動を行う。興味のあるテーマはがん医療、QOL疾患、目・耳などの感覚器障害、東洋医学。

愛知医科大学教授

みしま・ひでゆき 1984年大阪大学卒業。同第2外科入局。箕面市立病院、国立大阪病院(現・国立病院機構大阪医療センター)外科医長、外来化学療法室長、臨床腫瘍科長などを経て、2012年に愛知医科大学教授。現在、同大学病院臨床腫瘍センター、臨床研究支援センター部長。専門は消化器がんの化学療法と診療相談で、新薬の国際共同治験や多施設共同臨床研究への参加実績も多い。また市民向けの講演活動も多数行っており、大阪弁でのわかりやすい語り口にはファンも多い。