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心配性の人は自分の健康情報を「知らぬが仏」

石蔵文信・大阪大学招へい教授

スマホ使いすぎで情報伝達物質が枯渇?

 私の個人的印象であるが、最近うつ病などのストレス関連疾患が増えてきた原因の一つに「情報過多」があるように思える。うつ病発症のメカニズムはいまだにはっきりしていないが、主に脳内の情報伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンが少なくなった、もしくはうまく情報が伝わらなくなったことが原因と推測されている。

 ドーパミンやノルアドレナリンは脳を覚醒させ、集中力を高め、楽しい・心地よいという感情や記憶、積極性、痛みの軽減などの役割があるので、不足すると無気力、無関心になり意欲が低下してくる。一方、セロトニンは精神の安定に関係し、癒やしの物質と呼ばれている。不足すると、精神状態が不安定になり、自律神経の調節が悪くなるので、めまいや動悸(どうき)、胃腸障害など体中に異変が起きる。つまり元気が出ないのはドーパ…

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大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。