孤島の小さな診療所から

「離島医師」の働き方から、島の医療を考える

太田龍一・沖縄県立南部医療センター付属南大東診療所長
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製糖期、収穫されていくサトウキビの周りに、風よけとして植えられているもちきび。毎朝、この朝日ともちきびを見ながらランニングしています=筆者提供
製糖期、収穫されていくサトウキビの周りに、風よけとして植えられているもちきび。毎朝、この朝日ともちきびを見ながらランニングしています=筆者提供

 今回は私のように、離島で働く医師(ここでは離島医師と呼びます)そのものについて、お話ししたいと思います。

 沖縄の離島医師の多くは、沖縄県に勤務している若手医師の中からそれぞれの離島の診療所に派遣されています。県の人事として派遣されているため、よほどのことがない限り、島に医師が不在になることはありません。派遣される医師の多くは、沖縄県立病院が行っている「島医者養成コース」という臨床研修コースの一環として、3〜4年間、県立病院で実地臨床を経た後、離島診療所へ赴任します。そうして離島にやってきた医師たちは、もちろん私も含め、病院医療での経験を元に離島診療所で働き、島民の皆さんの支えを得ながら、多くのことを学んできたと思います。

 私が離島の医師をしていると言うと、よく「24時間、365日、島でずっと働いて疲れませんか?」と聞かれます。この連載でも紹介したように、南大東島に、医師は診療所医師1人しかいません。そのため、診療所の医師、つまり私は島で患者さんに何かあった場合、新たに急病の患者さんが出た場合は、すぐに診療所に駆けつけて対応する必要があります。一方で、都会の病院や診療所とは違い、当直はありません。朝8時半から夕方5時までの外来診療が終われば、急患が発生しない限り、自由に行動できますし、規則正しい生活も送れます。沖縄の離島であれば、人口は300人から1500人程度の規模であり、急患の数も少ないのです。人口約1400人と離島の中では多い南大東島でも、1週間の急患は多くて十数件、少ないときは1週間何もないこともあります。さらに土曜日、日曜日は毎週仕事はなく、ゆっくり過ごすことができて、とても快適です。

 「島にずっといること自体がストレスになりませんか?」と聞かれることもあります。離島医師は、基本的には島に駐在していることが必要ですが、必要に応じて、県に休みを申請することができます。その間は、沖縄県立病院から代診の先生が島に来て、診察してくださいます。島外での急な用事や、定期的に行われている勉強会や学会に参加することも可能です。私自身も2カ月に1回程度は、週末に島外へ出て学ぶことができるため、大…

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太田龍一

沖縄県立南部医療センター付属南大東診療所長

おおた・りゅういち 大阪府出身。2004年大阪市立大学医学部入学。同大学卒業後、10年から沖縄県立中部病院プライマリケアコースで研修。13年から現職。人口約1400人の南大東島で唯一の医師として、島民の日常的な健康管理から救急医療までを一手に担う。趣味は読書とランニング。毎年秋に開かれる島の運動会、駅伝大会への参加を目指し、鋭意トレーニング中。