髪の健康相談室

染めれば染めるほど 上がる「かぶれ」のリスク

齊藤典充・横浜労災病院皮膚科部長
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 年齢、男女の差なく髪の毛に気をつかう人が増えて、幅広い年代でおしゃれ染めや白髪染めの使用頻度が高くなっています。2015年10月、消費者安全調査委員会が公表した「毛染めによる皮膚障害」に関する調査報告書によると、1カ月に1回以上の毛染めを行う人は全体の38%に上り、2カ月に1回程度27.2%▽3カ月に1回程度19.8%▽4カ月に1回程度5.5%−−と続きます。頻度は年齢が上がるほど高くなる傾向が見られ、50代では過半数の人が1カ月に1回以上毛染めをしています。しかし毛染めを頻繁に行うと、皮膚障害、つまり「かぶれ(皮膚炎)」のリスクも上がることを知っておくべきです。

 毛染めによるかぶれは、理容店、美容院で染めた場合、市販の「染毛剤」(ヘアカラー、ヘアダイ、おしゃれ染め、白髪染めなど医薬部外品に分類されるもの)を使って自分で染めた場合、そのどちらでも起こります。症状はかゆみや赤い発疹などで、頭皮以外にも耳の後ろや顔、首の周囲など使用中に染毛剤がついたところに表れます。初めて毛染めを行った時にすぐかぶれることはほとんどなく、染毛剤を何度も使っているうちに発症します。これは、かぶれとは「もうこれ以上、染毛剤を使ってはいけないよ」という体からの警告だということです。

 かぶれを起こす主な原因物質は染毛剤に含まれる酸化染料だと考えられています。パラフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、パラアミノフェノールなどの物質で、これらがアレルゲン(アレルギーの原因物質)となり、人体の免疫がそれを異物だと認識して反応することで、かぶれが起こります。ちなみにヘアマニキュアなど化粧品に分類される染毛料は比較的、かぶれを起こしにくいとされていますが、リスクはゼロではありません…

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齊藤典充

横浜労災病院皮膚科部長

さいとう・のりみつ 1993年北里大学卒業、同大学皮膚科に入局。98~2000年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。国立横浜病院(現:国立病院機構横浜医療センター)皮膚科、北里大学皮膚科助手、講師、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長などを経て14年4月から現職。専門は脱毛症、血管炎、血行障害。日本皮膚科学会の脱毛症に関する診療ガイドラインの作成に携わるなど、長年、診療の第一線で脱毛治療・研究の分野をリードしている。