生命の時計から考える健康生活

あなたは何を食べて、時計をリセットしますか?

柴田重信・早稲田大学教授田原優・カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教
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 朝食は体内時計の時刻を早めますが、夕食は逆に遅らせてしまう効果があります。24時間よりも長い私たちの体内時計は、夕食よりも朝食で24時間に調節する必要があるのです。とここまでは、前回お話ししました。今回は朝食として何を食べれば体内時計の調節に効果的なのか、を考えてみたいと思います。

 食事を取ると体内に糖分が吸収され、血液中の糖(グルコース)、すなわち「血糖」が増加します。これが、血糖値が上昇した状態です。血糖値が上がると、膵臓(すいぞう)にあるβ(ベータ)細胞はその変化を感知し、インスリンというホルモンを血中に分泌します。インスリンは各臓器にあるインスリン受容体に作用し、血糖を取り込むように指示します。結果、血糖の調節が図られて血糖値は下がり、取り込まれたグルコースは臓器のエネルギーとして利用されたり蓄えられたりします。

 このようにインスリンは血糖値を下げる機能を持つ、体内で唯一のホルモンなのですが、最近の研究で、肝臓や脂肪細胞の時計遺伝子の働きを調節する役割も持っていることが分かりました。つまり、食後にインスリンが分泌されることで、体内時計の時刻調節が起こるのです。

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柴田重信

早稲田大学教授

しばた・しげのぶ 1953年生まれ。九州大学薬学部卒業、薬学研究科博士修了。九州大学助手・助教授、早稲田大学人間科学部教授などを経て、2003年より早稲田大学理工学術院教授。薬学博士。日本時間生物学会理事、時間栄養科学研究会代表。時間軸の健康科学によって健康寿命を延ばす研究に取り組む。専門は時間栄養学、時間運動学とその双方の相乗効果を健康に活かす商品・プログラム開発。田原助教との共著に「Q&Aですらすらわかる体内時計健康法-時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康-」(杏林書院)。

田原優

カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教

たはら・ゆう 1985年生まれ。早稲田大学理工学部、同大学大学院先進理工学専攻卒業。博士(理学)。早稲田大学助手を経て、2015年より早稲田大学高等研究所助教、17年1月よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部助教。07年より、柴田重信教授と共に、時間栄養学研究の確立に取り組んできた。また、発光イメージングによるマウス体内時計測定、ストレスによる体内時計調節などの成果も発表している。常にヒトへの応用を意識しながら、最先端の基礎研究を行っている。柴田教授との共著に「Q&Aですらすらわかる体内時計健康法-時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康-」(杏林書院)。