医療プレミア特集

広がるインターネット依存症 健康と家族をむしばむ病の実情

西田佐保子・毎日新聞 デジタルメディア局
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 インターネットの使い過ぎによって自身の健康や暮らしにさまざまな影響が生じる「インターネット依存症(ネット依存症)」の疑いがある大人は国内で約421万人(男性成人人口の約4.5.%、女性の3.5%)に上ると言われ、年々増加傾向にある。1963年に国内で初めてアルコール依存症専門病棟を設けて以来、さまざまな依存症治療に実績のある国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)のインタ−ネット依存治療外来は、全国から多くの患者が駆けつける拠点的な施設だ。現在まで約4年間におよそ700人のネット依存症患者を診てきた同病院の樋口進院長(精神科)にその実情を聞いた。

 インターネット依存症、医学的には「インターネット使用障害」というものは、ネットの使い過ぎで健康や暮らしに影響が出る状態を言います。日本においてネット依存症が注目されたのは2008年。私も関わった厚生労働科学研究で、成人の飲酒に関する実態調査を行う際、生活習慣を全体的に評価する目的でネットの使い方についての質問項目を設けました。その結果、驚くべきことに成人の約275万人に、ネット依存症の疑いがあることが分かりました。この結果を受け、11年7月、久里浜医療センターにネット依存症治療の専門外来を開設しました。現在、関東だけでなく、関西、東北など全国各地から患者さんや家族が来られています。ネット依存症が疑われる人の数は、13年に行われた調査では421万人という結果が出ています。調査の母集団に違いがあるため、単純比較はできませんが、私たちが調べた08年と比べてもかなり増えていると推測できます。

 外来患者の男女比は5:1。年齢別では中高生が50%、大学生を含めると学生が全体の8割を占めます。現状、成人の来院は少ないものの、主婦や高齢者など在宅時間の長い人に、ネット依存症の割合が高いと推測されます。実際、25歳以上の患者さんも徐々に増えてきました。

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西田佐保子

毎日新聞 デジタルメディア局

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。 興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。