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健康への介入は「いらぬお節介」

石蔵文信・大阪大学招へい教授

巨額の資金を投じた大規模研究がまたも「頓挫」

 生活習慣病のリスクが高いとされた人に積極的な保健指導をすることで重症化を防ぐことができるかを調べる大規模研究「J-HARP」について、厚生労働省は研究途中の2015年度で中止することを明らかにした。その理由は「計画通りに対象者を追跡できていない例が多く、信頼性あるデータが集まらない」かららしい。

 この研究は3年前の13年度から始まり、5年間で結果を出す予定であった。最近まで私が所属していた大阪大学が中心となり、全国43の自治体が参加。今までに約3億円が使われたが、成果を出せないまま予定の5年を待たずに研究を終了するという。

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大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。