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腸管運動性下痢の治療には生活改善も重要

尾高健夫・尾高内科・胃腸クリニック院長
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 前回は、下痢の発症のメカニズム別に、浸透圧性下痢、滲出(しんしゅつ)性下痢、分泌性下痢、腸管運動性下痢の四つに分けて、それぞれの概要を紹介しました。これらのうち、ストレスとの関わりが大きく、現代病の一つといえるのが腸管運動性下痢です。今回はこのタイプを中心にお話しします。

 まずお話ししたいのは、どのタイプにも共通していえることですが、下痢を起こしていると腸内細菌のバランスが悪くなるということです。腸内細菌は、外から入ってきた病原菌を排除する働きを持っており、下痢によって腸内環境が悪くなると、バリアー機能が弱くなって2次的な感染を引き起こし、下痢をさらに悪化させると考えられています。

 そうならないためには、下痢の原因を突き止め、原因に応じた治療をしなければいけません。そのために重要なのが問診です。急に起こったのか、長く続いているのか、熱はあるか、血便はあるか、飲んでいる薬の種類−−などを詳しく聞きます。便秘しないように下剤を服用していて下痢になっている人もいるので、そのチェックも欠かせません。

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尾高健夫

尾高内科・胃腸クリニック院長

おだか・たけお 1989年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業後、千葉大学医学部第1内科(現・消化器・腎臓内科学)入局。千葉県立東金病院内科医長、東邦大学医療センター佐倉病院内視鏡治療センター講師、おゆみのクリニック(千葉市)消化器科部長などを経て、2014年千葉市内に尾高内科・胃腸クリニックを開設。長く消化器疾患と内視鏡検査の専門医として診療にあたり、特に胃腸疾患では内視鏡による早期がんの診断と治療、ヘリコバクター・ピロリの除菌治療、胃食道逆流症、便秘・下痢症など幅広い疾患を対象に治療と研究を行ってきた。モットーは「人として優しく、医者として明るい医療」。科学的エビデンス(証拠)と自身の経験による知識をバランスよく、わかりやすい言葉で患者に伝えることに心を砕いている。