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羽生前名人と並び称された天才棋士を苦しめた病気

堀江重郎・順天堂大学教授

 最近、人工知能(AI)と人間の頂上決戦の形になった将棋の電王戦で、AIを使った将棋ソフトが、山崎隆之叡王を破ったニュースがありました。昨年まで5対5の団体戦だった電王戦ですが、今年から電王トーナメントで優勝した将棋ソフトと、叡王戦の優勝者が戦うことになったのです。そして、いよいよ次回の叡王戦には羽生善治前名人が参戦するとの発表もありました。羽生前名人が勝ち抜けば、来春には古来の棋譜を収集して「学習」したAIと「名人」脳の対決が実現することになり、大変興味をそそられます。

 さて、羽生前名人と同年代でありながら、1998年に29歳の若さで亡くなった村山聖九段という棋士がいます。村山さんの紹介をスタートに、今回は、何が医学を前進させるかについて思いを巡らせたいと思います。

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順天堂大学教授

ほりえ・しげお 順天堂大学大学院教授、泌尿器科医。1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、国立がんセンター中央病院などを経て、42歳で帝京大学医学部主任教授に就任。日本初の男性外来であるメンズヘルス外来を開設。2012年より現職。手術ロボット・ダヴィンチを駆使した前立腺、腎臓手術のトップランナーであると同時に、アンチエイジングと男性医学、腎臓学の研究に没頭している。中高年男性をハツラツとさせるのが生きがい。日本メンズヘルス医学会理事長、日本抗加齢医学会副理事長。著書に「ヤル気がでる!最強の男性医療」(文春新書)、「男性の病気の手術と治療」(かまくら春秋社)ほか。