教養としての診断学

腫瘍マーカーが高い人はがん?

津村圭・府中病院総合診療センター長
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 健康診断や人間ドックで「腫瘍マーカー」を測定してもらったことはありませんか? 腫瘍マーカーは、がん細胞に対する体の反応によって作られる物質で、血液検査で測定できます。これまでに多くの種類が発見されています。腫瘍マーカーは自治体などが行っている一般検診の項目には含まれておらず、たいていの人間ドックではオプションとして提供されています。

 そして、ドックで腫瘍マーカーの値が上昇しているという結果が出たため、「精密検査を受けるように」という内容の紹介状を持って、病院に来られる方が増えています。時には、他の病院で胃・大腸の内視鏡、胸部・腹部CT(コンピューター断層撮影)などの検査をすでに受け、異常はないと言われたにもかかわらず、「どうしても心配だ」と来院される人もいます。そんな方は、診察室で私とこんなやり取りをしています。

患者さん:先生、人間ドックで腫瘍マーカーが高いと言われたんです。

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津村圭

府中病院総合診療センター長

つむら・けい 大阪府出身。1977年大阪市立大学医学部を卒業後、国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター)に心臓内科レジデントとして勤務。その後の28年間は大阪市立大学医学部教員として、学部学生、大学院学生、研修医、指導医、教員の指導と医学部カリキュラムの企画と作成に携わった。診療面では循環器内科をベースとしつつ、早い時期から原因疾患の判別が困難な症例で、診断を担当する総合診療医として従事。研究面では、各種疾病のリスクファクターについての臨床疫学研究を行い、ランセット(Lancet)など欧米医学誌で発表してきた。2014年1月から現職。総合診療医として地域医療に関わるとともに、初期、後期研修医の指導を担当、臨床研修室顧問も兼任する。地域医療を充実させるため院内に家庭医療専門医後期研修プログラムを立ち上げるなど、診療と教育をリンクさせた活動を現在も続けている。府中病院ウェブサイト