無難に生きる方法論

勃起不全は心臓病の前兆?

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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 「勃起不全(ED)」が注目されたのは、1998年に発売された画期的な薬「バイアグラ(一般名シルデナフィル)」の影響が大きかったといっても過言ではない。「バイアグラ以前」に大阪の国立循環器病センターに勤務していた時、患者さんから性生活の相談を持ち掛けられたなどの経緯で、私は性機能と心臓病の研究を始めた。当時の学会では心筋梗塞(こうそく)や心不全の研究が花形で、循環器と性機能の話をしてもほとんど相手にされなかった。

 心臓の役割は、全身に血液を送るためのポンプのようなものである。動脈硬化が起こると血液の流れが悪くなって心臓がくたびれるだけでなく、心臓自身にエネルギーと酸素を供給する血管である冠動脈にも異常をきたして、狭心症や心筋梗塞を引き起こす。

 ペニスの動脈も平時はほとんど静脈と同じ圧だが、いざ“そのとき”になると最高血圧と同じくらいに血流が増える。心臓と同じようにペニスの血管に動脈硬化が起こると、血流が低下して十分な勃起が得られない。だから勃起不全は動脈硬化と深い関係があり、心筋梗塞や脳卒中の前兆である……と25年前に主張していたが、ほぼ無視されていた。その当時は命を守るのが一番で、性機能などは後回しにされていた。今や、患者さんのQO…

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。