髪の健康相談室

ペットからも感染? 頭の水虫で毛が抜ける

齊藤典充・横浜労災病院皮膚科部長
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 水虫と言えば、足の指の間にできるもの、というイメージです。最近は爪にできる水虫についてもよく知られるようになってきました。しかし、頭皮や頭髪にも感染し、それが脱毛の原因になることをご存じでしょうか?

 前回、脱毛には、ストレス以外のさまざまな原因があるとお話ししました。夏になると皮膚科の外来は、感染症の患者さんが増えます。特に多いのが水虫です。足の指や爪の水虫はもちろんですが、「髪の毛が抜ける」と来院した患者さんの頭皮や頭髪から水虫の原因菌が見つかり、「頭の水虫が原因の脱毛」だったというケースも、実は珍しくありません。また近ごろは、ペットの犬や猫が感染している水虫の菌が飼い主にうつって脱毛が起きるという例も増えてきました。

 水虫は医学的には「白癬(はくせん)」という感染症です。原因は皮膚糸状菌というカビの仲間で、一般に白癬菌とも言います。「頭の水虫」は、頭にこの皮膚糸状菌が寄生したもの。「頭部白癬」が正式な名称ですが、以前は「シラクモ」と呼ぶこともありました。

 白癬を起こす皮膚糸状菌は世界に40種類以上あり、日本ではうち10種類ほどが白癬を起こすとされています。ヒトからヒトだけでなく、動物とヒトの間でも感染します。国内で感染例が多いのは、トリコフィトン・ルブルム、トリコフィトン・メンタグロフィテスという菌ですが、ペットからの感染はこれとは異なるミクロスポルム・カニスという菌が原因です。頭部にこれらの菌が寄生すると、ふけが増え、髪の毛は折れて、抜けやすく…

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齊藤典充

横浜労災病院皮膚科部長

さいとう・のりみつ 1993年北里大学卒業、同大学皮膚科に入局。98~2000年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。国立横浜病院(現:国立病院機構横浜医療センター)皮膚科、北里大学皮膚科助手、講師、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長などを経て14年4月から現職。専門は脱毛症、血管炎、血行障害。日本皮膚科学会の脱毛症に関する診療ガイドラインの作成に携わるなど、長年、診療の第一線で脱毛治療・研究の分野をリードしている。