6月から始まった新連載。これまで漢方薬の歴史や基本的な知識を2回に分けて紹介しました。今回からは季節ごとに起こりやすい不調と、その症状に適した漢方薬をお伝えしていきます。7月はまだ梅雨が続き、気温差によって体が冷え、不調が起こりやすい時期です。代表的な5種類の漢方薬を養生法とともに紹介します。

 7月に入りましたが、梅雨明けまでまだしばらくかかりそうです。梅雨時は、日中は高温で蒸し暑いのですが、夜半や明け方は気温が下がります。汗ばんだ体が急速に冷やされることで、さまざまな体の不調を引き起こすのです。

 寝ている時などに特に冷えやすいのが、おなかです。おなかが冷えると胃の血流が悪くなり、胃の働きが低下します。この結果、生命の源である「気」が乱れ、他の部位の熱が上半身に集まり、胃は冷えているのに首から上は熱を持っている状態になります。これは漢方医学でいう「気逆(きぎゃく)」の状態です。気逆が起こると、胃の不調に加え、めまいや頭痛などの症状が出やすくなります。

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加藤士郎

野木病院副院長/筑波大学付属病院臨床教授

かとう・しろう 1982年獨協医科大学卒後、同大第1内科(現心臓・血管内科)入局。88年、同大第1内科大学院卒。第1内科講師、宇都宮東病院副院長などを経て、09年野木病院副院長、筑波大学非常勤講師。同年、筑波大学付属病院総合診療科に漢方外来開設。10年筑波大学付属病院臨床教授。筑波大学付属病院で漢方外来に従事するととともに、主に学生、研修医を対象に漢方の教育活動を行っている。編著に「臨床力をアップする漢方ー西洋医学と東洋医学のW専門医が指南!」(中山書店)。医学博士、日本内科学会認定医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医など。