医療プレミア特集

口腔ケアで防ぐ震災関連死

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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益城町総合体育館前に設けられた歯科コーナーで歯科医師の診察を受ける人たち=熊本県益城町木山で2016年4月28日、中村清雅撮影
益城町総合体育館前に設けられた歯科コーナーで歯科医師の診察を受ける人たち=熊本県益城町木山で2016年4月28日、中村清雅撮影

 熊本地震から間もなく3カ月。熊本県内では今なお5200人(5日現在)が不自由な避難生活を余儀なくされている。6月20日夜からは豪雨による土砂災害が、被災者に追い打ちをかけた。過去の大災害の被災地では、口の中の細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込んで肺炎を起こす誤嚥性(ごえんせい)肺炎の患者が増え、時に命が失われるケースがあった。口の中の健康状態を保つ「口腔(こうくう)ケア」は、災害時の過酷な環境では、命を守る重要な取り組みになる。日本歯科医師会の「災害歯科コーディネーター」として地震発生後、度々熊本県を訪れている東京医科歯科大大学院の中久木康一助教(口腔外科)に、災害時の口腔ケアのノウハウと歯科に関する被災地の状況を聞いた。

 災害時の口腔ケアの重要性が叫ばれるようになったのは、1995年の阪神大震災がきっかけだった。900人以上が震災関連死し、そのうち肺炎が約4分の1を占めたとされる。その後「口腔ケアを徹底すれば誤嚥性肺炎の発症率を減少させることができる」との認識が広まり、2004年の新潟県中越地震などで口腔ケアが実施され、少しずつ効果が証明されてきた。災害時の歯科医療を充実させる体制づくりも進められた。中久木さんが…

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鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜・川崎支局を経て、15年5月からデジタルメディア局。