医療プレミア特集

怒りを抑えていませんか?

西田佐保子・毎日新聞 デジタルメディア局
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 職場や家庭での出来事で、最近「怒った」ことはあるだろうか。怒りはストレスにまみれた環境と不可分の感情だという。つまり逆境から立ち直る心のしなやかさ「レジリエンス」を鍛えるにも、怒りといかに付き合うかが大切な要素となる。著書「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)で、人間の攻撃性に関する考察が注目された精神科医、片田珠美さんに、怒りの作用、そして怒りを抑えるリスクを2回にわたり解説してもらう。

 人は自尊心を打ち砕かれた時、心が折れます。家族や友人にとって、職場において、自分が必要とされている人間であると感じることで、人は存在価値を見いだします。「お前はこの部のお荷物だ。辞めてしまえ」などといった自尊心を傷つける上司による発言で心が折れるのはそのためです。

 傷つくと人は「何かを失った」と感じます。自分が非常に重要だと考えていた価値を否定されるからです。人間における最大の喪失は「自分自身の存在を失う=死」といえます。その死に向かう人の思考の変化を、米国の精神科医、エリザベス・キューブラー・ロスの著書「死ぬ瞬間」から見てみます。この本でキューブラー・ロスは、がんを宣告された数多くの患者にインタビューした経験をもとに、余命宣告された人がどのように現実と向…

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西田佐保子

毎日新聞 デジタルメディア局

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。 興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。