医療プレミア特集

より良く生きたい欲望から人は悩む

西田佐保子・毎日新聞 デジタルメディア局
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 誰しも年を重ねるにつれ、心身の衰え、孤独、死の恐怖など、若いころには感じたことのない不安や葛藤が生じてくる。大きな原因は「老い」だが、それを避けることはできない。中高年に増えるこのような悩みを軽減し、ストレスを乗り越えるレジリエンス(逆境から立ち直るしなやかな心の力)を育てるヒントが、大正時代に日本で誕生した精神療法「森田療法」の考え方にあるという。慶応義塾大学病院精神・神経科で統合失調症、うつ病、不安障害などの患者と向き合いつつ、森田療法の研究を続ける新村秀人助教に概要を語ってもらった。

 私たちは日々、さまざまなストレスを感じながら社会生活を送っています。その原因はライフステージによって異なりますが、40歳代、50歳代 になると「老い」に対する悩みや不安が出てきます。

 老いの入り口に到達すると、右肩上がりだった人生に変化を感じ始めます。体力は落ち、仕事や人間関係も従来と同じパターンが通用しない。子どもとの関係に悩む人もいます。さらに60歳代にもなると、仕事が定年になったり、家族や友人が亡くなったりと、さまざまな「喪失」も経験します。子供や友人と疎遠になり、社会から必要とされなくなったと感じます。

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西田佐保子

毎日新聞 デジタルメディア局

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。 興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。