医療プレミア特集

「みとり」とは、これから生きていく人のためのもの

西田佐保子・毎日新聞 デジタルメディア局
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安心があるから入居者と家族は生活できる=宮崎市の「かあさんの家」で2007年4月29日、矢頭智剛撮影
安心があるから入居者と家族は生活できる=宮崎市の「かあさんの家」で2007年4月29日、矢頭智剛撮影

 民家を改装したホームホスピス「かあさんの家」(宮崎市)などを拠点に、住み慣れた街で最期まで安心して暮らせる街づくりを目指す、NPO法人「ホームホスピス宮崎」。理事長・市原美穂さんは、家族や友人などが「みとる」ことが、人の最期にとって大切だと言う。前編に続き、「みとり」への強い思いが生まれた背景を尋ねた。

 最期の時まで相手のそばにいて、その人らしく生きられるよう援助する「みとり」の大切さを痛感したのは、私の父が亡くなったときです。父はがんの手術をして、その2週間後に病院で亡くなりました。あまりにも急すぎて、母にはその現実が受け入れられなかった。その後、母は文字通り生きる気力を失ってしまいました。毎日泣き続けたり、「今、お父さんを見かけた」と言って、急に電車を降りたりしたんです。

 多くの医療は基本的に、人が亡くなった瞬間、終わりを迎えます。しかし大切な人を亡くした家族は、その悲しみを引きずります。「残された人が悔いを残すみとりでいいのだろうか」と疑問を感じました。ですから、私が一番みとりにおいて気にかけているのは家族です。

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西田佐保子

毎日新聞 デジタルメディア局

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。 興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。