医療プレミア特集

握手で分かる熱中症のサイン

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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 米航空宇宙局(NASA)の気象学者が今年5月、ツイッターで「2016年は史上最も暑い夏になる」と警告したことが話題になった。この指摘を裏付けるかのように、全国各地で連日、真夏日を記録し、熱中症とみられる症状で救急搬送される人が後を絶たない。総務省消防庁によると、7月18日から24日の1週間に熱中症で救急搬送された人は3798人(速報値)に上った。だが、熱中症はしっかりとした対策をとれば防げる病気だ。どのような対策が必要なのか。6月に横浜市中区で開かれた「熱中症 予防・対策セミナー」から報告する。

 熱中症とは、高温多湿な環境下で体内の水や塩分のバランスが崩れ、体温の調整機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもることで起こる体調不良の総称。めまいや立ちくらみ、こむら返りなど軽度のものから、頭痛や吐き気、重症になると意識障害などが生じる。熱中症の初期は、体液が失われる「脱水症」が起こる。体液には水のほか、塩分などの電解質が含まれており、この電解質も同時に失われるのが脱水症だ。人の体は汗をかくことで体温を調節しているが、大量に発汗すると体液の喪失を防ぐため、発汗にストップをかける。すると体温が上昇し、さまざまな障害を引き起こす。また、私たちの体は発汗のほかに体の中心部で発生した熱を血液に伝え、皮膚の表面に血流を移動させて放熱しているが、体液が失われるとこうした熱の移動もスムーズにできなくなってしまう。したがって、脱水症を防ぎ、体液の量を一定に保つことがとても重要なのだ。

 特に子どもや高齢者は脱水状態になりやすいと言われている。子どもの場合、体重あたりの「不感蒸泄(じょうせつ)」の量が大人より多いためだ。不感蒸泄とは、呼気に含まれる水分と皮膚などから蒸発する水分を合わせたもので、汗は含まない。年齢によっては汗をかく機能や腎臓機能が未熟ということもある。また、体液のうち細胞に栄養素を供給したり、老廃物を運び出したりする働きをもつ細胞外液のほとんどを占める水分は日々入…

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鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜・川崎支局を経て、15年5月からデジタルメディア局。