人類史からひもとく糖質制限食

「必須糖質」はなぜないのか

江部康二・高雄病院理事長
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人体のシステムに合わない穀物食

 「糖質制限食」というと、現代では変わった食事と思われがちですが、実は糖質制限食こそが、人類本来の食事であり、人類の健康食なのです。こうしている今も、考古学、人類学上の新たな発見や見解の公表は続いているので、諸説はありますが、人類がチンパンジーの仲間から分かれて誕生したのが約700万年前、農耕開始が約1万年前と考えましょう。人類誕生から農耕開始まで、狩猟・採集で栄養を得ていた約700万年もの間は穀物などありません。そのため、人類は皆、糖質制限食を食べていました。それほどの長期間、人類は突然変異を繰り返しながら進化し、消化・生理・代謝などのシステムを完成させたのですから、人類の体は糖質制限食に特化し、適合しているのです。

 そんな中、約1万年前に突然、穀物を全栄養の50〜60%も食べる食生活となったわけです。糖質制限食に最適化された人体のシステムから見れば、とんでもなくバランスの悪い食生活を、農耕開始以降の人類は強いられてきた、と言えるわけです。

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江部康二

高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。