誰も言わない うつの本音

うつ病を再発させない働き方とは

西川敦子・フリーライター
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 うつ病から立ち直り、元気に働いている人もいる一方、会社を辞めてしまう人もいる。彼らはなぜ退職してしまうのだろうか。今回は「精神障害者」としてリクルートグループの特例子会社「リクルートオフィスサポート」に勤務する鈴木晃博氏に話を聞いた。産業カウンセラーでもある鈴木氏は、経営コンサルティング会社などを経て、ITベンチャー企業に転職後、うつ病を発症した。現在は講演活動などを通し、うつ病に関する啓発活動を行っている。うつ病体験者だからこそわかる、治った後の意外な落とし穴について語ってもらった。

 うつ病を発症した後、以前と同じように働き続けられる人はどのくらいいるのでしょう。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が民間事業所を対象に実施した調査(2012年)によれば、メンタルヘルスに不調を抱えた従業員が「休職を経て復職している」と答えた事業所の割合が37.2% と最多でした。しかし、仕事を離れてしまった人もいて「休職を経て退職した」(14.8%)▽「休職せずに退職した」(9.8%)▽「休職を経て復職後、退職した」(9.5%)−−を合わせると、結果的に34.1%が退職していることが分かりました。

 復職がうまくいかない理由は何でしょうか。原因はうつ病の再発率の高さにあります。もちろん回復するケースも多いですが、中にはこじらせ、長引いてしまう人もいます。初めて罹患(りかん)した人のうち50%以上が、3回罹患した人では90%が再発するというデータもあります。ちょっとショッキングな数字かもしれませんが、私たちにとって大切なのは、事実を受け止めたうえでうつ病と共に生き、働き続ける方法を考えることな…

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西川敦子

フリーライター

にしかわ・あつこ 1967年生まれ。鎌倉市出身。上智大学外国語学部卒業。釣り関連の編集プロダクション勤務、温泉仲居を経て、2001年から執筆活動。経済誌、新聞、人事関連雑誌などで、メンタルヘルスや家族問題、働き方をテーマに取材を続ける。著書に「ワーキングうつ」(ダイヤモンド社)など。