医療プレミア特集

「副腎疲労で健康悪化」は本当?

西田佐保子・毎日新聞 デジタルメディア局
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 前回は、一般に“ストレスホルモン”と呼ばれる「コルチゾール」が果たしている、私たちの体を守る働きについて、福岡大学の柳瀬敏彦教授(内分泌糖尿病内科)に聞きました。今回は、コルチゾール分泌が慢性的に減少する状態として、近年の話題になることが多い「副腎疲労」について、そしてコルチゾールと関わりが深く長寿にかかわると言われるホルモン「DHEA」について、引き続き柳瀬教授に解説してもらいます。

 副腎皮質からのコルチゾール分泌量が減少して発症するのが、全身の疲労感、胃部不快感や食欲不振といった消化器症状などを伴う「副腎不全症」です。一方、最近よく言われる説として、私たちの体が長期間ストレスにさらされた結果、「副腎疲労」が起き、ストレスに反応するコルチゾールの分泌能力が低くなって副腎不全症のような症状が出る、というものがあります。強いストレス環境で、休む間もなくコルチゾールを分泌し続けた副腎が疲労してしまう……という考え方ですが、現時点においては、明確な根拠はありません。慢性的なストレス環境では、視床下部、下垂体、副腎系のホルモン調節に一時的な障害が起きることは分かっているので、副腎やコルチゾールに限定せず、自律神経機能やホルモン調節系全体が一時的な機能不全に陥ることはあるかもしれません。

 ストレス社会に生きる私たちの種々の体調不良を説明する上で、「副腎疲労」は魅力的な仮説だとは思います。しかし、私自身は長期間ストレスにさらされた結果、コルチゾールの分泌が少なくなる、ということはないと考えています。コルチゾールがストレス指標として用いられるので、コルチゾールをストレスそのものや副腎疲労を引き起こす“悪玉ホルモン”と勘違いしている人がいますが、そうではありません。コルチゾールは皆さん…

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西田佐保子

毎日新聞 デジタルメディア局

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。 興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。