医をめぐる情景

医に欠かせないもの

上田諭・東京医療学院大学教授
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 洛北医科大学鴨川寮の月1回の寮会議は、深夜12時を回っても寮生の熱い議論が続いていた。

 「南田、おまえのそういった短絡した思想が、患者と医者の関係をゆがめ、ひいては病院の機能をまひさせるんだよ。わかってんのか!」。阿藤快が演じる5回生の神崎靖邦(28歳)が声を荒らげる。

 内藤剛志演じる長髪の4回生・南田慎太郎(25歳)が反発する。「最初からね、ゆがんだ関係の上に成立してるっちゅうことをですよ、なんで神崎さんは歴史的にとらえようとせえへんのですか。−−医学生やったら当然、近代医学が患者を犠牲にして発展してきた過程について知らへんではすまされへんはずでしょ」

 2人の応酬を、寮生活8年、29歳だが4回生の本田俊平がとりなす。演じるのは斎藤洋介だ。

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上田諭

東京医療学院大学教授

うえだ・さとし 京都府生まれ。関西学院大学社会学部では福祉専攻で精神医学のゼミで学ぶ。卒後、朝日新聞に記者で入社したが、途中から内勤の編集部門に移され「うつうつとした」日々。「人生このままでは終われない」と、もともと胸にくすぶっていた医学への志向から1990年、9年勤めた新聞社を退社し北海道大学医学部に入学(一般入試による選抜)。96年に卒業、東京医科歯科大学精神神経科の研修医に。以後、都立の高齢者専門病院を中心に勤務し、「適切でない高齢者医療」の現状を目の当たりにする。2007年、高齢者のうつ病治療に欠かせない電気けいれん療法の手法を学ぶため、米国デューク大学メディカルセンターで研修し修了。同年から日本医科大学(東京都文京区)精神神経科助教、11年から講師、17年4月より東京医療学院大学保健医療学部教授。北辰病院(埼玉県越谷市)では、「高齢者専門外来」を行っている。著書に、「治さなくてよい認知症」(日本評論社、2014)、「不幸な認知症 幸せな認知症」(マガジンハウス、2014)、訳書に「精神病性うつ病―病態の見立てと治療」(星和書店、2013)、「パルス波ECTハンドブック」(医学書院、2012)など。