人類史からひもとく糖質制限食

百花繚乱 各種の「糖質制限食」はどう違う?

江部康二・高雄病院理事長
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 2016年7月1日号の東洋経済オンラインに「糖質制限危険説」は一体どこまで真実なのか」という記事が載りました。私も登場して、「頭が働かない」「力が出ない」といった不調は、糖質制限のやり方を間違えて、カロリーを制限し過ぎているためだ、という話をしました。

 同じ記事に、門脇孝・日本糖尿病学会理事長(東京大学教授)の談話も載っていました。私自身、とても驚いたのですが、門脇理事長は記事中で「一人の糖尿病研究者として」としながらも「糖質量を総摂取カロリーの4割以下に抑える糖質制限は、大いに推奨される」と答えておられました。具体的には、平均的な体格の男性で、1日に摂取する糖質の量を150g以下に抑える緩やかな糖質制限食を推奨されていて、東大病院でも15年4月から糖質4割の「低糖質メニュー」を提供しているそうです。さらにご自身も糖質制限食を実践中とのことでした。この連載「糖質制限食の『凍結と復活』激論の21世紀」の回に書きましたが、日本糖尿病学会はかつて糖質制限食の安全性や効果を否定する見解を発表していました。その学会のトップの言葉は、まさに隔世の感ありで、うれしい衝撃でした。

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江部康二

高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。