ひたむきに生きて

緊急手術で「健康」という軌道を取り戻す

天野篤・順天堂医院院長/順天堂大学教授
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心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影
心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影

 最近、季節の変わり目で不調を来す人が多いためか、緊急手術が増えています。4月から病院長に就いたので、「緊急手術なんてもうやらないのでは」と思われるかもしれませんが、自分の経験と実力が最適と思われる状況では予定を変更してでも手術に向け出動します。

 循環器の病気の場合、病気の進行に伴って自覚症状が出現し、日常生活の制限や内服で病気の進行を防げないか、重症化して生命の危機に瀕(ひん)する可能性が高い時に手術が考慮されます。つまり、強まった患者の自覚症状を取り払うことができる時期こそが、手術の最適なタイミングになります。自覚症状があるのに医療機関を受診しないで放置したり、精密検査を勧められているのに後回しにしたりする患者もいますが、一旦バランスを崩すと一気に緊急手術となってしまうことも多いです。

 さて、そんな患者が救急車で運ばれてきて緊急手術となりますが、術前の状態が不安定なほど手術の危険性も高く、術後の容体も予断を許さない状況となります。ただし、急性心筋梗塞(こうそく)では血管内カテーテル治療が格段の進歩を遂げており、かなりの患者で手術の危険因子が改善されています。これによって、以前はとりあえず救命できれば、とその場しのぎの術式で済ませることも多かったのが、最近は緊急手術といえども長期…

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天野篤

順天堂医院院長/順天堂大学教授

あまの・あつし 1955年生まれ。埼玉県出身。83年日本大医学部卒。亀田総合病院、新東京病院などを経て、2002年7月から順天堂大学教授、16年4月から順天堂大学医学部付属順天堂医院院長。12年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀したことで知られる。