実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

麻疹抗体が消える理由と「マスギャザリング」の恐怖

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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理解してから接種する--「ワクチン」の本当の意味と効果【25】

 受付では鳴りやまない電話、診察室では後悔のため息……。

 2016年9月前半の太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)の状況を表せばこのようになります。そうした「混乱」の原因は「麻疹」です。8月14日に千葉市の幕張メッセで開かれたジャスティン・ビーバーのコンサートに来場した男性が麻疹に感染していたことが24日に報道され、さらに30日には関西国際空港での集団感染について、空港を運営する関西エアポートが「空港内従業員の『麻しん(はしか)』感染について」というタイトルのプレスリリースを発表しました。

 関空の職員が多数麻疹に罹患したことが大々的に報道されると、関西の(そしておそらく関西以外の地域も)…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト