
ほとんどの病気に関与と“お墨付き”
厚生労働省は15年ぶりに「喫煙の健康影響に関する検討会報告書(たばこ白書)案」を改訂し公表した。日本では、自らの意思で吸う能動喫煙により年間約13万人、他人が吸うたばこにさらされることによる受動喫煙で同約1万5000人が死亡していると推計されている。
喫煙者の病気のうち、肺、口腔(こうくう)・咽頭(いんとう)、喉頭、鼻腔・副鼻腔、食道、胃、肝臓、膵臓(すいぞう)、膀胱(ぼうこう)および子宮頸部(けいぶ)の各種がん▽脳卒中、虚血性心疾患、腹部大動脈瘤(りゅう)などの循環器疾患▽慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患▽2型糖尿病▽歯周病−−などが、喫煙との因果関係は「確実」と判定された。受動喫煙者でも肺がん、脳卒中、虚血性心疾患のほか、小児のぜんそくなどとの関係も「確実」であると判定されている。
このデータを解析した国立がん研究センターに対し、日本たばこ産業(JT)は8月31日、「受動喫煙と肺がんリスクの関連性は明確ではない。科学的に説得力のある形で結論付けられていない」などとするコメントを発表。ところが、同センターは9月28日、JTのコメントについてさまざまな論文を引用しながら「異例の反論」をした。インターネットでは「JTが国立がん研に文句を言い、容赦ない返り討ちにあった」などと、セン…
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大阪大学招へい教授
いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。
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