医療プレミア特集

RSウイルスのワクチンはなぜないの?

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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 2歳までにほぼ100%の子どもが感染するといわれるRSウイルス(RSV=Respiratory Syncytial Virus)。前編でも触れたが、RSVは一度感染しても免疫が持続しにくい特徴があり、ワクチンの研究開発が進められているものの、いまだ実用化には至っていない。後編では、このワクチン開発に焦点を当てる。なぜ開発が難しいのか。どのような方法が検討されているのか。そして実用化のめどは−−。日本小児感染症学会理事長で札幌医科大小児科学講座の堤裕幸教授に、ワクチン開発の現状と課題などを聞いた。

 RSVは1956年に米国で発見されたウイルスだ。その後、約10年でウイルスをホルマリンで処理して感染する能力を失わせた「不活化ワクチン」が開発された。しかし、接種後の自然感染に対して効果がなかっただけでなく、むしろ重症化し、2人が死亡したという。それ以降は原因究明に多くの時間が割かれ、次の開発がなかなか進まなかったという背景がある。

 堤教授によれば、ワクチン開発がうまくいかない理由は、これだけではないという。「RSV感染症が重症化するピークは生後2〜6カ月と言われています。予防するには生後数週以内にワクチンを投与する必要があるわけですが、まだ小さい赤ちゃんに免疫を付与するのは難しいことです。また、不活化ワクチンでうまくいかなかったので、生きたウイルスの毒性を弱めた『生ワクチン』が必要と考えられるわけです。ところが、このワクチ…

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鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜・川崎支局を経て、15年5月からデジタルメディア局。