医療プレミア特集

認知症にまつわる誤解

西田佐保子・毎日新聞 デジタルメディア局
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 我が国で認知症を患っている人は2012年で約462万人、25年には65歳以上の高齢者の約5人に1人に相当する700万人に達すると推測されている(厚生労働省研究班調べ)。また、慶応大医学部の研究グループの推計によると、14年の1年間に、認知症の人に対する医療や介護に関して社会全体で負担したコストは14兆5000億円にのぼる。認知症の夫が、認知症の妻を介護する「認認介護」世帯の増加や、認知症が原因と見られる行方不明者数が3年連続(12〜15年)で1万人を超えるなど、深刻な社会的課題も浮き彫りになってきた。しかし、これほど身近になった「認知症」を、私たちは正しく理解しているだろうか。日本認知症学会の秋山治彦理事長(横浜市立脳卒中・神経脊椎=せきつい=センター臨床研究部長)に解説してもらった。

 −−認知症には、認知症の原因の過半数を占めるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)のほか、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、また正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫など、さまざまな種類の疾患が含まれています。なぜこれらを総称して「認知症」と呼ぶのでしょうか。

 昔はこれら疾患の区別がつかなかったことが、その理由の一つでしょう。歴史的には、1892年にピック病(前頭側頭型認知症)、1894年に血管性認知症、1906年にアルツハイマー病が報告され、認知症にもいろいろな原因疾患があることがわかってきました。19世紀に認知症(dementia)と言えば、梅毒が原因で起きる進行麻痺(まひ性認知症)を指すことが多かったようです。

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西田佐保子

毎日新聞 デジタルメディア局

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。 興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。